廻向(えこう)は偉大なる力
廻向(えこう)って何ですか?
このブログでも『廻向(えこう)』について何度か書いているのですが、『廻向』というのは実はものすごい心理的パワーを持っているのですね。
日本テーラワーダ協会が発行する月刊誌『Paṭipadā(パティパダー)』の4月号で「廻向」についての説明があり「廻向」のすごい力について勉強になったので載せておきます。
以下『Paṭipadā(パティパダー)』4月号からの引用です。
質問:廻向(えこう)というものがよくわかりません。どういうものか教えてください。
答え:善行為に賛同・賛成してエールを送ること
「廻向(えこう)」というのは、何か自分が持っているものを他人にあげることと同じ働きです。決して難しい意味ではありません。
「廻向」という単語を使っているのは「功徳」というものをあげるときだけなのです。
例えばお金が無い人にお金をあげるときは「廻向」という単語は使いません。
その場合は「寄付」というような単語を使います。
自分の持っている功徳・善行為の力をあげる場合に「廻向」というのです。
ですから持っているものは何でもあげることができます。難しいことではありません。
お金をもらったり食事や衣服をもらったりする場合は実際に物質を物々交換するからわかりやすいのです。
「廻向」のはたらきの場合は「賛同する」・「賛成する」ということになります。

ある人がとても良いことをする。
それを目にした人が「素晴らしいことだ」・「立派なことです」と賛同すると廻向になっているのです。
人間は良いことをする人間を非難・批判するのです。賛同しない。
それは悪行為になります。
この世の中、昔も今も良いことをする人は、かなり非難されます。
本来、みんな心が汚れていて悪人ですからそうなっているのです。
良いことをする人をどうにかしてダメにするため、書いたり、ネットに投稿したり、噂をたてたりして、あらゆる方法で攻撃するのです。
証拠入りません。
人間は事実が書いてあるサイトより、ゴシップ記事などのサイトの方が好きなのです。
ゴシップ記事はすべて事実ではありません。
嘘ばっかりです。
本来、心は汚いのですから仕方のないことですが。
「廻向」というのは良いことに賛同する・賛成するということ、「よかった、よかった」とエールを送ることなのです。
それで「よかった」と賛同した人も心の喜びを感じることができるのです。
廻向を受けた、ということです。
物質・モノと違うところはそういうところです。
廻向は気持ちの交換ということになります。同じ気持ちの交換です。
ある人がものすごく悪いことをして、それに同じ気持ちで賛同・賛成していしまうと、だだ賛同した人も悪いことをしていることになるのです。
どちらにも力があります。
SNSの「いいね!」も廻向
例えばユーチューブ(Youtube)で歌などを投稿すると、その投稿にアクセス数が多ければ多いほど歌った本人が人気者になっていくのです。
もしくだらない歌であっても二十万くれいの視聴回数や評価があれば、その人はプロの歌手として世界に知られることになったりします。
なぜそこまで力があったのかというと、それはやはり皆の賛成でそうなったのです。お互い様なのです。
投稿や動画を見て「Like!(いいね!)」ボタンを押す人たちは、それを見て喜んだからLikeと押すわけでしょう。
そこでも廻向という心理的な働きが起きているのです。

ネットで何か記事を読んで、自分が「あぁ、よかった」「なるほど」と喜びを感じたから賛成のボタンを押す。
それで一万や二万、二十万という数のヒット・評価になってくると、投稿者はすごい大物で影響力のある立場になっているのです。
ニューズウィーク(NewsWeek)の「今年のヒーロー」という記事で、今年は「#MeToo」という言葉が選ばれていました。
「MeeToo」とは「私も」という意味ですね。
アメリカでセクシャルハラスメントにあった人々がずっと声に出せずに黙っていた状態があって、そこである人が組織を作って、その標章としてSNSで「#MeToo」と発信したのです。
すると、その人がセクハラの被害にあったことを声に上げ発信して一日たって起きてみたら、二十万以上の返信・賛同があったそうです。
その中には有名なタレントや女優さんたちも結構いるみたいです。
雑誌の半分以上ページ数をとって、その内容の記事が載っていました。
今これは世界的な運動になっています。
この場合でも心理的に廻向という働きがあるのです。
ですから、賛同する人々がたくさんいるという廻向のはたらきによって、このセクハラ被害を訴える活動家にものすごい力がはいってきたのです。
すごい力ですよ。
賛同は偉大なる力になる
廻向というのは、心の気持ちを分かち合うことことになります。
これは簡単に考えてはいけません。
この力は並ではありません。
今のIT時代で考えたとしても、相当な力になるとわかるでしょう。
仏教では昔から、そういう心のはたらきを明確に知っていたのです。
賛同することは、偉大なる力になるということを。
功徳を他人にあげることを廻向というのです。
この働きは普通のことで、神秘的な考えではありません。
廻向というのは心理学的な要因であって、毎日あることなのです。
別な言葉でおきかえれば「応援する」・「支持する」・「後押しする」とか。
子供が自信を無くしたり緊張したりすると心配してお母さんが「お母さんがついているよ」と言って応援したり励ましたりするでしょう。
その一言で子供は元気を取り戻して自分の仕事をするのです。
それはすごい力になります。
心理学的な働きによって起こる力なのです。
引用ここまで
まとめ
「廻向」とは同じ気持ち交換という意味ですが、「賛同・賛成する」に付け加えて、「共鳴・共感すること」と言えば分りやすいと思います。
ここで重要なのが、人の善い行いに対して共感・賛成すると、自分も『善い行い』をしたことになりますが、人の悪い行いに対して共感・賛成すると、自分も『悪い行い』をしたことになってしまうということです。
これはシンプルですが、強力な力です。
例えば「正義」という名のもとに、戦争を起こすことに「賛成」すれば、それはいい行いでしょうか?悪い行いでしょうか?
「あいつはイヤな奴だから死ねばいい」という書き込みに対して「賛成」することはよい行いといえるでしょうか?
悪い行いに対して共感し、賛同するということは、相手に力を与えるだけでなく、自分も悪い行いを一緒に行っていることになるのです。
それは「悪業」を溜める行いで、後々その結果を受けとることになります。
ですから、わたしたちは極力、人のよい行いに共感・賛同して、善い業をためていかなくてはならないのですね。
ちなみにわたくしはこのブログの広告料をお寺にお布施したときは「お布施したのでみなさまに廻向いたします」と書くようにしています。
これは「みんな~、お布施して善い業(ごう)積んだから、この喜びを共有しようぜ~ぃ!」と言っているとご理解していただけたらと思います。
ですからみなさまも「イエ~ィ!やったね!さすがだ、ポンタ丸!」と喜びを共有してくださいませね。
それでみなさまも善い行いをしたことになるのですよ!
もし、みなさまがFaceBookページで「いいね!」をしていただけたら、わたくしも「みなさまが喜びを共有してくださっておる!」とわかりやすいんですけどね~( ̄∇ ̄*)ゞエヘヘ
みなさまが幸せでありますように( ゚▽゚)/
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