コメディかと思っていたらものすごくグロかった
最近、テレビも見ないし、漫画も読まなくなったし、世間の情報にすっかり疎くなっていた私。
前に映画館に行ったとき、テラフォーマーズの実物大の看板があって、小栗旬さんの濃いキャラと登場人物のわけわからんコスチュームを見て勝手にコメディと思い込んでしまった私がばかだった。

映画が始まり武井咲さんの演技がイマイチ~と思いながら観ていると、いきなり殺されて唖然・呆然( ゚д゚)
そのとき、私は「これはコメディの要素は全くない」と知ったのだった。(おせーよ)
人間というのはどこまでも身勝手な存在
もともと人間が火星に移住しようとして、火星を人間の住める環境にするためにコケとゴキブリを持ち込んで、今度は存在が邪魔になったからゴキブリを駆除しようという身勝手さがこの映画の基本になっている。
まあ、何を食べたらあそこまで筋肉むきむきで、でかくなって二足歩行にまで進化するのかわからない等つっこみどころは満載であるが、火星に送り込まれたゴキブリだって生きるために必死で進化したんだろうなと想像はつく。
どんな生き物だって「死にたくない、生きていたい」という強い思いで生きているということを私たちは忘れがちだ。
人間は特に日本人は「ゴキブリは殺していい」とほぼ断定的に思っている。

いや、なんでゴキブリは殺していいのよと聞かれて理由を答えられる人はどのくらいいるだろうか?
「気持ち悪いから」
「嫌いだから」
でもそれが殺していい理由なら、自分が同じ理由で殺されたって文句言えないよね?
そういう意味でこの話はよくできているなあと思う。
ゴキブリが人間よりも体が大きくなり知能も発達し、数の上でも凌駕したとき、彼らは容赦なく人間を駆逐しようとする。
なぜなら彼らにとって人間は未知の生き物で自分たちより弱くて、殺しても全く彼らにとって痛くもかゆくもない存在だから。
人間が地球で容赦なくゴキブリや他の害虫と人間が勝手に呼んでいるところの生き物を殺しまくったように、火星で進化した巨大ゴキブリは容赦なく人間を叩き潰す。
「もし自分が反対の立場に置かれたらどうなのか」という単純な構想がこの作品の下地になっているから説得力があるのだ。
優しさが自分を守るということ
最後、大爆発の中で生き残った主人公の小町小吉は瀕死のハイパーゴキを殺さずにその場を去る。
そうして脱出ポッドに乗り込んで脱出しようとしたとき、ほかのゴキが脱出ポッドを追おうとするのを、そのハイパーゴキは止めさせる。
どうして小吉はハイパーゴキをみんなの仇として殺さなかったのか?
やはり、それがこの主人公の性格によるものなのだろうと思う。
弱いものをいじめない、殺さない、そういう優しさが怒りを上回ったのかもしれないし、そもそも相手を殺したところで仲間が生き返るわけでもないのだ。
対するハイパーゴキは圧倒的な戦闘能力で人間たちを苦しめていたのが、重傷を負うことで立場が逆転されてしまう。
そして殺されると思っていたら、相手は殺さずに去って行った。
そのお返しとして、そのハイパーゴキは他のゴキ達に脱出ポッドを墜落させるのをやめさせる。
小吉の優しさや正義感が結局は自分を守ったことになったのだ。
まとめ
私たちは人間に限らず相手の立場になって考えるという思考をもっと持つべきではないでしょうか?
主人公の小町小吉の昆虫DNAは『オオスズメバチ』でしたが、その紹介の仕方もオオスズメバチは凶暴で、強い毒を持っていて、何度でも襲ってくるというように、すごく危険な昆虫のように言われていましたが、彼らからしたら危ないというだけで巣ごと全滅させる人間のほうがよほど凶暴で危険な存在と言えるのではないでしょうか?
私もスズメバチに刺されたことありますけど、それは彼らのテリトリーを荒らしたこちらの責任であって、彼らは彼らなりにテリトリーを守るのに必死なだけです。
しかし、あんまり大量に刺されるとアナフラキシーショックを起こしかねないので、9・10月の彼らが興奮しやすい時期には巣のある場所に近づかない、黒い服装をできるだけ避けるというような工夫も必要でしょう。
もし刺されたときは手でできるだけ毒を絞り出して、そのあと水をかけて毒を洗い流してから薬を塗っておくといいです。
(口で吸いだすのは毒が口の傷からまわる恐れがあるので危険です!)
進化とは「弱肉強食」ではなく「共存」です。
相手に怒りを向ければ怒りが返ってくるし、慈しみの心を向ければ慈しみの心が返ってくる、そういう単純な世界にあって私たちは理不尽に生き物を殺している事実に向かいあうべきだとこの映画は教えてくれています。
最後に火星が舞台ということで「ブレードランナー」、想定外のことが起こるというところで「エイリアン」、なにより小池栄子さんの髪型から「2001年宇宙の旅」のオマージュを感じてしまった私でした。

なんかCGの出来とか、原作との違いとかであんまり評判がよろしくないようだけど、私は十分楽しめたし、考えさせられました。(コメディじゃなかったけど)
関連記事:絶対絶命の大ピンチ!~スズメバチに取り囲まれたら(パート1