【エゴ】という心の壁
村上春樹さんの著書『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』をご存知でしょうか?
私はこの本が大好きなのですが、ラストが結局どうなったのかが分からなくて、ヒントが無いかと何十回と読み直した結果、本がボロボロになってしまいました(笑)
しかし私が『ゴリゴリ期』と呼んでいる人生最悪の暗黒時代を乗り越えてから、やっとこの本が村上春樹さん自身の『ゴリゴリ期』の体験談をディフォルメしたものであると解ったのです。
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そうした理解の上でまたこの本を読み直してみると、これは村上さんが『ゴリゴリ期』にいる人たちに向けた指南書でもあるのだなと感じます。
村上さんにしてみれば分る人だけに分かればいいと思われたのかもしれませんが、できればもう少しわかりやすく書いてほしかったorz
さて、この「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」では【世界の終り】という心の世界と【ハードボイルドワンダーランド】という現実世界の二つの世界が交互に描かれて物語は進んでいきます。
【世界の終り】という心の中の世界は頑丈な壁に周囲を囲まれた街で、この街の住人は、壁の外に出ることはできません。
唯一の門には門番がおり、彼の目を盗んで壁の外に出ることはできないのです。
この本では二人の主人公が出てきます。
【世界の終り】に閉じ込められてしまった「僕」と、現実社会【ハードボイルドワンダーランド】で生きる35歳の「私」の二人です。
【世界の終り】で「僕」は影を門番に奪われてしまいます。
影は「僕」の潜在意識にあたると思うのですが、街は影を殺そうとします。
おそらく「僕」は現実社会で生きる「私」が捨ててしまった「愛」を象徴しているのだろうと思うのですが、「僕」は記憶を無くしており、心をうまく働かせることができずに悩みます。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、私たちも普段、心を壁に囲まれて生きています。
それが「エゴ」です。
エゴとは
1、自我
2、利己主義な考え(自分の利益だけを考えること)
3、利己主義な人
の三つがあげられますが、日本で「エゴ」と言う場合は2と3で使われることが殆どです。
今回、私が人生最悪の暗黒時代『ゴリゴリ期』を脱出した際に解ったことは、「エゴ」がものすごく強くなってしまうことによって心の働きがものすごく制限されてしまっていたということです。
それはあたかも心が狭い部屋に閉じ込められてしまうようなものです。
エゴとは原始脳から発せられる感情で作られますから、「善し悪し」ではなく「好き嫌い」で判断するんですね。
原始脳には「善し悪し」を判断することはできず、「善し悪し」を判断するのは「大脳」の役目なんだそうです。
ですのでエゴが強くなればなるほど「嫌」と感じることが多くなり、心の自由な働きを邪魔するようになります。
エゴにしてみれば自分を守るためにやっていることなのですが「善悪」の判断ができないので、逆にどんどん自分を追い込むことになってしまいます。
そして、心がエゴにより狭い壁の中へ閉じ込められてしまうと人生最悪の大逆境時代『ゴリゴリ期』が始まります。
エゴは年を重ねるごとに強くなる傾向がありますから、年を重ねるごとに『ゴリゴリ期』からの脱出が難しくなります。
ご自身が『ゴリゴリ期』に突入したと感じられているなら、根性を据えて『ゴリゴリ期』を脱出することをお薦めします。
何故かと言うと『ゴリゴリ期』をきちんと脱出しないと、エゴが強いままなので、また同じようなことが起きたり、更にパワーアップして再登場してくるからです(体験済みです!)
しかし『ゴリゴリ期』というのは「あなたのエゴがハイパワー状態になっていますよ」と教えてくれる時期でもあります。
辛い時期だからこそ心を磨くことができるチャンスでもあるのです。
私も『ゴリゴリ期』の間は本当に辛かったけれど、今は「ゴリゴリ期よ、私を鍛えてくれてありがとう、色々教えてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。
さて、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」では、「僕」が【世界の終り】という街に閉じ込められてしまったことで、現実社会の「私」がどんどんとひどい状況に巻き込まれていくという展開になっています。
『ゴリゴリ期』においても同様で、これでもかこれでもかと自分の望まないことが起きます。
この本を改めて読んでみて、村上さんの『ゴリゴリ期』も本当に大変だったんだろうなと思ったのでした。
『村上春樹さんに学ぶ暗闇人生脱出法(Part2) 観察すること』に続きます。